断熱性能を上げたのに、なぜ結露?
冬の朝、起きて窓を見たら水滴がびっしり。高気密高断熱の家を建てたら結露とはおさらばだと考えている方、けっこう多いんじゃないでしょうか。私自身も家づくりを始めた頃は「気密性が高い=結露しない」と思っていました。でも実際には、断熱と気密を上げるだけでは結露することがあります。
気密性が高い家は湿気が逃げにくい
結露というのは、空気中の水蒸気が冷えて水に戻る現象です。住宅の性能を上げて室内を暖かく保てるようになっても、家のどこかに冷たい場所と湿った空気が同居すれば結露は起きます。むしろ気密性が高い家ほど生活で出た湿気が外に逃げにくくなり、室内の湿度は上がりやすくなります。この点を誤解したまま家を建てると、特定の部分に湿気がたまってカビの原因になります。
結露が起こる3つの原因
①室内で発生する湿気が想像以上に多い
人の呼吸、調理、洗濯物の室内干し、観葉植物。生活そのものが湿気を生みます。4人家族なら1日10リットル以上の水蒸気が出るとも言われていて、これが行き場を失うと、温度差のある窓や壁の内側にたまっていきます。
②換気が計画通りに動いていない
気密が甘い家では、給気口から正しく空気が入らず、代わりに壁の隙間から外気が入り込みます。換気の計画が崩れて空気が滞り、湿気のたまる場所が生まれやすくなります。それが結露の温床になります。
③性能の異なる窓の採用
これが一番知らずに起こるケースです。高気密高断熱住宅を建てようとしている方は、窓の性能はもちろん樹脂サッシのトリプルガラスを採用する方が多いと思います。
しかし、玄関扉はどうでしょう、玄関「扉」と名はつくものの、窓みたいなものです。お家の断熱材にこだわって、窓にもこだわって、でも玄関扉はデザインや採光性で選んでいませんか?
他にも、リビングの外にも出られるような大きな窓、窓は大きいと値段が跳ね上がるのでその窓だけ減額のためにグレードを落としたりしていませんか?
水蒸気は冷えると結露します。お家の中はどこも暖かいのに、玄関扉や大きな窓だけがほかの断熱性の高い窓に比べてキンキンに冷たかったらそこが結露してしまうのは明らかです。
解決方法
第一種換気+高気密施工+パッシブ設計の三本柱
結露を抑えるには、性能を上げるだけでなく「湿気をコントロールする仕組み」が必要になります。
まず推奨したいのが、熱交換型の第一種換気システムの採用です。給気と排気を機械で行うことで、計画通りに家中の空気を入れ替えられます。熱交換率90%以上の機種なら冬の冷たい外気をそのまま入れず、室内の温度を保ったまま換気できます。湿度の管理がぐっとしやすくなります。
次に欠かせないのが、徹底した気密施工です。C値(隙間相当面積)を1.0以下、できれば0.5前後を目指すと換気計画が機能します。「西日本だから気密はそこそこでいい」という話も聞きますが、温暖地でも冬は普通に寒いし、結露リスクは寒冷地と変わりません。
さらに、パッシブ設計を組み合わせると相乗効果が出ます。冬の日射を取り込む南面の窓、夏は深い庇で日差しを遮る、室内に熱容量のある素材を使う――こうした設計が機械設備の負担を減らし、結露しにくい安定した室内環境をつくります。私自身も、南面の日射取得を工夫しただけで、冬の窓辺の結露がほぼゼロになりました。
同じ性能の窓、玄関ドアの採用
窓がどれだけ高性能でも、一か所でも冷える場所があればそこに結露は集中します。お家全体の断熱性能を均一に保ち、温度差をなくすことが大切です。
玄関ドアは「断熱ドア」を選ぶ
一般的な玄関ドアの断熱性能(UA値)は、樹脂トリプルサッシの窓と比べるとかなり低いです。同じ「家の外皮」なのに、ドアだけが断熱の抜け穴になってしまうことがあります。LIXIL「グランデル2」やYKK AP「イノベスト」など断熱グレードの高い玄関ドアを選びましょう。断熱等級にいくつかのグレードがあるので、お家のUA値の目標に合わせて選ぶのが理想です。
デザインや採光にこだわりたい気持ちはよくわかりますが、せっかくお金をかけた断熱・気密の効果を玄関ドア一枚で台無しにしないために、ここは妥協しないほうがいいと思います。
大きな窓も性能を落とさない
「大きい窓は値段が高いから、その窓だけ複合サッシまたはダブルサッシに落とした」というのも、よくある失敗パターンです。
窓が大きければ大きいほど外気と接する面積も広くなります。その分冷えやすく、結露リスクも上がるので、大きな窓こそ性能を落としてはいけない場所とも言えます。予算の都合で調整するなら、性能を落とすより「窓を小さくする」や、我が家のように「窓の数を減らす」方向で考えるのがおすすめです。
まとめ:「一番弱い場所」に結露は集まる
結露の問題は「性能だけ」では解決しません。第一種換気で湿気をコントロールし、高気密で計画換気を機能させ、パッシブ設計で室内を安定させる。この三本柱で、見えない結露も防げます。
水蒸気は温度差のある場所に向かいます。どれだけ壁・床・天井の断熱を完璧にしても、玄関ドアや特定の窓だけが冷えていれば、そこだけ結露してしまいます。
窓・玄関ドア・壁・床、すべての部位の性能を揃えることで、初めて結露しない家が実現できます。結露がなくなると、冬場は特に毎朝の窓拭きから解放されてカビの心配も減ります。家を建てるときによく考えてから建築することで、その後何十年も暮らしが楽に快適になるはずです。


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