断熱材や窓の性能とかは何ヶ月もかけて調べているのに、換気については工務店に勧められたまま決めてしまう方が意外と多いのではないでしょうか。しかし、高性能住宅の建築を検討している皆様はそんなことないですよね。
そもそも、注文住宅を建てるにあたって「第一種か第三種か」で悩む人は少ないのかもしれません。性能は外せない、デザインは二の次というタイプの人は、住宅会社を選ぶときに必死になって高気密高断熱住宅の建築実績のある工務店を探すはずです。大手の提案力は認めても実際住む上での性能の良い住宅は建てれない、というかギャンブル、大手ハウスメーカーでも建築を担当するのは下請けの地元工務店ということが多い(まれに自社完結型のハウスメーカーもありますが)ことを知っているためです。そして価格やデザイン、間取りの部分にこだわりがあるタイプの人は、提案力のある大手ハウスメーカーを検討したり、デザインコンペで入賞するようなおしゃれな工務店を検討しますよね。
高断熱、高気密といったら第一種換気が当たり前。これがセットで出てくるのはもはや常識です。よね?逆にデザイン重視の住宅は家に対して第一種換気を採用するとオーバースペックになりやすいのでそもそも提案されないことが多いのです。そもそも計画換気とは?という方がほとんどだと思います。
なぜ第一種換気(熱交換換気)を選んだのか
私は25歳までに9回の引っ越しを経験しています。就職、転勤などで寮や賃貸で借りたアパート等、たくさんの家に住んできました。そこでずっと不思議に思っていたものが、どの部屋にもあった壁の丸い穴です。3種換気の通気口です。常時解放してくださいなどという注意書きは消えてなくなっていたので私は換気の意味も分からず好き勝手に閉めたり開けたりしていました。ほんとはずっと開けてなきゃダメなやつですよ。冬の寒いときは閉めていましたが、閉めても隙間風は入ってくる、窓は結露する。何のためについているのかわからない邪魔な穴だな。と思っていました。
家を建てるにあたり勉強した結果、あのにっくき穴の必要性も分かり、あの通気口があったら快適な生活が遠のいてしまう…。住みやすい快適なお家を目指してわが家はC値0.4、UA値を0.22までもっていきました。第三種換気(機械で排気し、自然に給気する方式)を選ぶと、冬は外の冷気が給気口からそのまま入ってきます。東北の冬はマイナス10℃近くまで下がる日もあります。外壁や屋根をしっかり断熱して気密性を上げても、大きな穴から冷たい風が入ってくるのでは意味がない。断熱と気密にかなりこだわったのでにここで換気を妥協したらすべてが水の泡です。迷わず第一種換気一択でした。
熱交換換気の仕組みと断熱との相性
第一種熱交換換気は、排気する空気の熱を回収して、給気する外気を温めてから室内に取り込む仕組みです。高性能なものでは熱交換率が80〜90%ほどあると言われており、換気による熱損失をかなり抑えることができます。
高気密・高断熱の家ほど、この効果が発揮されやすい。逆に隙間が多い家では漏気で熱が逃げてしまい、計画換気が成立しないため第一種換気の恩恵を受けにくいのです。つまり、C値が低い家であればあるほど、第一種換気の投資回収率は上がるというわけです。
2F床設置にしたら、フィルター掃除が格段に楽になった
わが家は第一種換気の本体を2F床置きで設置しました。天井裏に設置するパターンもありますが、メンテナンスのしやすさを優先しました。
フィルターは3〜6ヶ月に1度ほど掃除が必要です。天井裏タイプだと脚立が必要になりますが、床置きタイプなら中腰になれば手が届きます。子どもがいると何かとメンテナンスを後回しにしがちなので、掃除しやすい場所に設置することを最初から考えておいてよかったと思っています。
工務店に「床置きにしたいんですが」と相談したとき、出来ないことはないですけど、珍しいです。と言われました。天井裏設置が一般的なのかもしれませんが、私たちにとっては大正解でした。

定期的にアラームをかけて夫が掃除してくれているのですが、換気扇本体と屋外をつなぐダクトの隙間から虫さんが入ってくることもあるようです。蓋があるので普段は家の中に侵入することはないのですが、フィルター交換時に見つかることがあります。そんなときも天井付けにしなくてよかったと感じます。上から虫さんが降ってきたら発狂しちゃいますからね。
住んでみて——冬はエアコン1台で本当に足りるのか
いちばん気になっていたのは、「第一種換気+高気密高断熱なら、エアコン1台で冬も暖かいのか」という点でした。
結論から言うと、1Fはエアコン1台でかなり暖かいです。リビングとキッチンがつながった間取りで、18度設定でリビングのエアコンを1台動かしていれば家全体が20℃前後をキープしています。以前の家では体験したことのない快適さでした。2Fも暖かい空気が上がっていくので極端に冷え込んだ日以外はエアコンをつけない日のほうが多いです。
初めての冬、外は上着がないといけないほど寒いのに、家に帰るととても暖かく驚いたことを覚えています。冬の始まりだったため設定温度は18度のままだったはず。窓際でも冷気がほとんど感じられない。朝起きても室温が18℃以上ある。家の性能が高いとこんなにも違うのかと実感しました。
夏の2階は正直、過信していた
一方で、夏の2階については正直舐めていました。
第一種換気で空気を循環させているし、UA値も高いからそこまで暑くならないだろうと思っていました。でも実際は、2階の寝室はエアコンを入れない少し暑苦しい日があるのも事実です。南向きの窓は寝室にはなく、直接温まりにくいはずなのですが階段を通して1Fからの熱気がどうしても上がってきてしまうようです。
それと湿気。外の湿度が高いため、第一種換気が頑張ったところで湿度は高いままです。第一種換気には除湿の効果はありません。じめじめしている分を取り除いてやるイメージでエアコン稼働させています。
夏の2Fは換気だけでは温度の循環が追い付かない、ここが全館空調と違うところでしょうか。
全館空調は外気を温め直して(冷やして)各部屋にダクトで届けるシステムで、温度変化が起こりやすくダクト内にカビが生えたりほこりが溜まったりすることが懸念されますが、第一種換気は回収した空気は外に逃がす、新しく新鮮な空気を外から入れて熱だけ交換するシステムでメインは換気です。そのため、ダクト内トラブルの心配はほとんどありません。
「換気=空調」ではないということを、住んでから改めて感じました。換気は新鮮な空気を取り込む仕組みであって、冷暖房の代わりにはならない。わかっているつもりだったけど、2階のエアコン設置は最初からしっかり計画すべきでした。結局寝室につけていた1台のほかの部屋にもエアコンを後から設置しました。そんなこともあろうかと、初めからエアコンスリーブや室外機置場を確保していたのは正解でした。エアコンスリーブに関しては、住宅完成後に外壁や断熱材に穴をあけると気密性が下がる可能性があるため、最初の段階で準備しておくことを強くおすすめします。
まとめ:換気は「新鮮な空気を入れる仕組み」であって、空調ではない
正直に言うと第一種換気の費用は、第三種より確実に高くなります。本体代や設置工事、ダクト工事を含めると差額は数十万円になることも。我が家は工事費込みで41万円でした。
それでも後悔はしていません。冬の暖かさと、花粉や外気の汚れをフィルターで取り除いた空気が入ってくる安心感、以前の家では冬の窓際は寒くて、子供も寒い寒いとよく言っていたので寒さを気にせず遊んでくれること——これは第一種換気を選んだからこそ得られたものだと思っています。
第一種換気は万能ではありません。夏の2階の暑さは換気だけでは解決できないし、メンテナンスの手間もある。それでも、断熱・気密にこだわった家に組み合わせることで、冬の暖かさと空気の気持ちよさは実感できています。換気の仕組みは子どもには伝わらないけれど、空気の気持ちよさは伝わっていると思います。

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