パッシブ設計を考える前にすること。高気密・高断熱とセットで考えるべき理由

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パッシブ設計に惹かれた理由と、気づいた落とし穴

高気密高断熱に特化した工務店を見つけて契約後、家づくりの打ち合わせで初めて「パッシブ設計」という言葉を聞きました。太陽の光や自然の風を上手に取り込んで、エアコンに頼らずに夏涼しく冬暖かい家が実現できる——そう説明されるととても魅力的に感じ、「これさえあれば断熱や気密はそこそこでも大丈夫かな」と考えていた時期がありました。でも、勉強を進めるうちにその考えでは危ないことに気が付きました。

全館空調を必要とせずにエアコン1台でお家の温度がコントロールできるなら最高じゃないですか!

高性能な箱がなければ、パッシブ設計は機能しない

パッシブデザインとは、日射・通風・熱容量といった自然エネルギーを建物の設計に活かす手法のことです。日射取得を最大化、最小化するための窓配置や、冬は取り入れ、夏の日差しは遮る長い庇の採用などが代表例です。

ところが、ここに大きな落とし穴があります。せっかく冬の日差しで暖めた室内の熱が、遮ったはずの夏の暑い直射日光が断熱性能の低い壁や窓からどんどん逃げていったらどうなるでしょう?冬はすき間風で室温が下がって窓の内側の温度も下がって結露、夏はいつまでたってもエアコン効かず、どんどん設定温度を下げざるを得なくなります。おまけに最近は熱帯夜、夜になっても熱気は家に残ったままです。そんな家で、計画的な通風なんてできるでしょうか?

パッシブデザインはそれだけで魔法のように快適に過ごせるわけではなく、高性能な家という箱があって初めて活きる手法でした。

パッシブデザインを台無しにする3つの原因

①断熱性能が足りない
冬の日射で得た熱も、UA値が高い(断熱性能が低い)家では数時間で逃げてしまいます。せっかく太陽の熱でお部屋をポカポカにしたところで、満タンの水の入ったバケツに穴があいていると水もたまりませんよね。そんなイメージです。

②気密性能が低い
C値が2.0や3.0の家では、計算上の通風経路は機能しません。すき間から勝手に空気が出入りしてしまい、夏の熱気や冬の冷気が入り込みます。「西日本は温暖だから気密はそこそこで」という話も聞きます。しかし私の実家でも経験済みで、実際に冬を過ごすと足元の冷えは想像以上、むしろ南東北の我が家のほうがよっぽど暖かく裸足でも快適なくらいです。

③換気計画が不十分
気密が低い家では、第1種換気でも隙間風のような給気口以外から空気が入る現象が起き、計画換気が破綻します。結果、湿気が壁内にこもり、壁内結露・カビのリスクが高まります。

この3つが揃わないと、せっかくパッシブデザインを取り入れても無駄な施工になります。長い庇(軒)はそれだけでもおしゃれですけどね。

まず箱を整える:断熱・気密・換気の順番

では、どうすればいいのか。パッシブデザインの採用には順番が大切です。

まず、そもそものお家の性能を断熱等級7以上(HEAT20 G3レベル)、C値1.0以下を目標にしてください。断熱等級7は2022年に新しく制定された省エネ基準で現在の最高等級にあたります。C値1.0は計画換気が機能する最低限の数値です。そしてこれが家の「箱」としての最低限のスペックです。地域によっては「過剰では?」と言われることもありますが、このベースがあってこそ、パッシブデザインが生きてきます。快適な暮らしのための新築住宅を建てるのですから、健康と快適さを長年サポートしてくれると考えれば、妥協する理由はないと思います。

次に、第一種熱交換換気の導入を強くおすすめします。せっかくC値を1.0以下に下げたのに、各部屋に第三種換気の大きな穴をあけて空気を取り入れるのはもったいないです。第一種換気は採用する際に換気計画を入念に行わないといけないことが大変ですが、綿密に計画して設置してしまえばあとはこちらの物です。外気を熱交換しながら取り込むので、冬は冷たい空気のまま入ってこず、夏は部屋が温まるのを抑えられます。電気代も意外と安く、月数百円〜千円程度です。

そこまでしてからはじめてパッシブ設計の登場です。南面に大きな窓を配置して冬の日射取得、夏は庇や南西の壁、外付けブラインドで日射遮蔽。これで体感温度、実際の部屋の温度がかなり変わります。

私の家では真冬でもエアコン1台で家中ぽかぽか。半袖で過ごせるほどです。そして夏の夕方のじりじりとした日差しがカットできているのは想像以上に快適です。ただ、さすがに真夏は2階へ熱が上がっていくため、就寝中は冷房を入れたいくらいには暑いです。

まとめ:パッシブ設計は性能の土台があって初めて活きる

パッシブ設計は、日射・通風・熱容量を味方につける優れた考え方です。ただし、それが機能するのは高断熱・高気密・計画換気という「箱の性能」が整っていることが前提です。

順番は「箱のスペックを整える→換気を綿密に計画し確保する→パッシブ設計を乗せる」です。この順番を守ることで、自然エネルギーをうまく生かすことができ、高気密高断熱に相乗効果が生まれてエアコン1台で家中が快適な家が実現します。

私の家では、この順番を守ったことで断熱・気密・換気・パッシブ設計が噛み合い、真冬でもエアコン1台で家中が暖かく、半袖で過ごせる状態が続いています。

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