夏の2階は暑い
高気密高断熱のお家を建てようと、断熱等級6を取って、窓ガラスもLow-Eトリプルにして、性能には妥協しなかったはず。なのに、夏の午後はエアコンを全開にしても2階が暑い。私自身も家づくりを始めたときは「断熱性能さえ高ければ夏も冬も快適なはず」と思っていました。でも、それだけでは足りないこともあるんです。断熱性能を上げても、太陽の熱が窓から入り続ければ、家はサウナのように熱くなります。
そもそも熱を家に入れないための日射遮蔽
断熱は「熱の出入りをゆっくりにする」性能です。つまり、一度入った熱はなかなか逃げてくれません。冬はそれがありがたい性質ですが、夏は逆に「入った熱がこもる家」になってしまいます。だから、断熱・気密と並んで重要なのが「そもそも夏の熱を家に入れない」という考え方。これが、パッシブ設計でいう日射遮蔽です。
高断熱住宅で夏に2階が暑くなる3つの原因
①南面・西面の大きな窓に庇がない
解放感を優先して大きな窓を取ったのに、庇がない・短いケース。窓から入った日射熱は、壁面の何倍も家を暖めます。
②内側のカーテンだけで遮ろうとしている
レースカーテンや遮光カーテンは、すでに室内に入った熱を反射しているだけ。窓ガラスを通り抜けた熱はカーテンの間でこもり、結局室内は暖まってしまいます。
③屋根・小屋裏の断熱と通気が弱い
屋根面は夏に最も日射を浴びる場所です。ここの断熱が薄かったり、通気が機能していなかったりすると、小屋裏が暑くなり2階に熱が降りてきます。
解決のカギは「外で遮る」+「気密で守る」+「換気で逃がす」
日射は窓の外側で遮るのが基本です。外付けブラインドやアウターシェード、深めの庇、落葉樹の植栽など、ガラスに日射が当たる前に止める工夫が効きます。室内側のカーテンより、外で遮るほうが約2倍も効果が高いと言われています。
そのうえで、高気密施工で隙間風を防ぎ、第一種換気(できれば熱交換型)で家全体の空気をゆっくり入れ替える。気密が低い家は、いくらエアコンを効かせても外の熱気が漏れ込んできて効きが悪くなります。第一種換気なら、夏は外気の熱を大幅にカットして取り込んでくれるので、冷房の利きもぐっと良くなります。
「西日本だから断熱はほどほどで」と思われがちですが、これは大きな誤解です。瀬戸内も関西も、真夏の最高気温が35℃を超える日は当たり前。むしろ温暖な地域ほど、夏の日射遮蔽と冬の日射取得を両立するパッシブ設計が効きます。私自身、地元工務店で建てる際に「過剰では?」と言われながらも、第一種換気と高気密、日射遮蔽と高断熱の窓・玄関ドアを採用しました。住んでみて、あのときこれでもかというくらい性能にこだわっておいてよかった、と思える夏を過ごせています。
まとめ:断熱は守り、日射遮蔽は攻め
断熱性能が高いほど、「入ってしまった熱」はこもりやすくなります。夏の快適さを手に入れるには、断熱で熱を逃がしにくくするだけでなく、日射遮蔽で熱をそもそも入れない設計が必要です。外で遮り、気密で守り、換気で逃がす。この三つが揃ってはじめて、夏の2階も涼しい家になります。
庇の深さ、窓の位置と大きさ、外付けシェードの有無。家を建てる前に決めてしまうことが多いので、間取りの段階から日射遮蔽を意識しておくのが理想です。気密・断熱の数値を追いかけるのと同じくらい、「夏の太陽をどこで止めるか」を考えてみてください。
家の中が一年中、温度差なく快適だと、寒い日のヒートショックも夏バテも起きにくくなって体調を崩しにくい。これは家づくりにかけたコスト以上に大きなリターンだったように思います。断熱・気密だけで満足せず、日射遮蔽と換気まで含めてトータルで設計する。これから建築予定の方は、ぜひ見直してみてください。

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